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新卒エンジニア研修は何を教えているか。公開資料44社のカリキュラム分析【2026年】

リクルート、MIXI、サイボウズなど44社が公開している新卒エンジニア研修の資料と紹介記事を読み、カリキュラムの構成を集計しました。各社がどの分野を科目に置き、何を入社時点の前提とし、生成AIをどう扱っているのか。研修設計の判断材料として整理します。

公開されている新卒エンジニア研修の資料と紹介記事を44社分読み、各社のカリキュラムを分野ごとに集計しました。

分野ごとの柱。高さは、その分野を科目にしている会社の数(19 社中)。インフラが 17 社でもっとも高く、Web が 15 社、DB・SQL が 14 社と続く

カリキュラムの全体が分かる19社のうち、その分野を科目として置いている会社の数です。クラウド・インフラが17社で最も多く、Webアプリケーション、DB・SQLが続きます。

カリキュラムの構成

対象は、最新年度(2023〜2026年)のカリキュラムの全体が分かる19社です。分野ごとに、その分野を科目として置いている会社の数を示します。

基盤技術

  • DB・SQL14
  • Git13
  • プログラミング言語10
  • Linux・シェル6

アプリケーション開発

  • Web アプリケーション15
  • テスト・QA10
  • 設計・アーキテクチャ8

インフラ・運用・セキュリティ

  • クラウド・インフラ17
  • セキュリティ12
  • コンテナ8
  • ネットワーク4

開発プロセスと生成AI

  • マインドセット・ライティング13
  • チーム開発(PBL)13
  • 生成 AI11
  • 開発プロセス7
NOTE

集計しているのは、その分野を独立した科目として置いているかです。科目がなくても扱っていないとは限りません。たとえば「Linux」の科目を置かずに、コンテナの研修の中で unshareip addr を実行させる会社があります。

Gitの扱いの深さ

Gitの教材の中身まで確認できた5社について、資料で扱っている範囲を段で示します。

Gitの扱いの範囲を10段で示した図。2社はコンフリクトの解消まで、1社はstashまで、2社はworktreeまで扱う。worktreeまで扱う2社のうち1社は経験者向けで、3段目から始まる

コンフリクトの解消までは5社すべてが扱っています。分かれるのは、reset・reflogによる復旧、rebase -iによる履歴の整理、オブジェクトモデルなどの内部構造です。

  • 最も広く扱う会社は丸一日をGitに充て、reflog による復旧、rebase -i.git/objects の中身まで扱います
  • 経験者向けに構成した会社は、対象を「Gitで開発した経験のある人」とし、基本操作は前提としています

Linux・シェルを独立した科目に置く会社は少ない

科目として置いているのは19社中6社です。教材の中身まで確認できた2社のうち1社の「サーバ運用入門」は、研修用のサーバーにSSHで接続し、ログの調査まで扱います。

課題の一つは「これまでにサーバにログインした接続元のIPアドレスのみを、重複無しで表示してください」で、解答はコマンドをパイプでつないだ1行です。同じ処理を、ログイン記録を書き出したファイルに対して実行した例です。

4 つのコマンドをパイプでつなぎ、ログイン記録から接続元の IP アドレスを重複なしで取り出す

科目を置いていない会社でも、コンテナの研修や生成AIの研修の手順書は、コマンドラインの操作を前提に書かれています。シェルの操作は、独立して教える対象というより、ほかの科目の前提として扱われています。

基礎の「前提化」

入社前・新卒研修・配属の3つの台。LinuxとGitの積み木が、新卒研修の台から入社前の台へ移っている

研修や教材の中には、シェルやGitの基本操作を受講の前提として明記したものがあります。

公開された講座の一覧でも、サイボウズは2020年に、リクルートは2025年度に、LinuxやGitの講座が見えなくなりました(社内限定の講義や非公開の講座があるため、扱わなくなったとまでは言えません)。受講者のスキルが多様化する中で、基本操作を前提として揃え、研修は習熟度別に組む。そうした設計に移っている会社があると読めます。

DB・SQLは記述より設計と性能

DBの教材の中身まで確認できた6社について、扱っている範囲ごとの社数です。

  • SQL の記述4
  • テーブル設計4
  • パフォーマンス調査6
  • トランザクション3
  • DB の選定3

パフォーマンス調査は6社すべてが扱っていました。SQLの記述は分かれ、クエリを100本書かせる会社がある一方で、DB研修ではSQLの書き方を扱わないと明記する会社もあります。

生成AIの扱いは3つの型に分かれる

生成AIの扱いの3つの型。TYPE1は前半はAIなしで実装し後半で解禁する。TYPE2はAIを理解の補助に限る。TYPE3は各科目で実務での使い方ごと扱う

TYPE 1

時期で分ける

前半は AI なしで実装させ、後半で解禁する。

  • 弁護士ドットコム

    「Claude Code などを使用してコード生成するのは途中まで禁止されていました。」「チーム開発(2)からは、いよいよ AI 解禁です。」

    2026 年度 新卒の研修記事
  • freee

    「AI 禁止!Web ブラウザの開発: 4 週間」のあとに「AI 全力活用!テーマ別のプロダクト開発: 5 週間」。

    2025 年度 新卒研修の記事
  • TOKIUM

    4 日間の Claude Code 研修のあと、Rails の研修では「コーディングにはClaude Codeを使わないように」。

    2026 年度 新卒の研修記事

TYPE 2

用途で分ける

理解の補助に限り、実装は任せない。

TYPE 3

最初から使う

各科目で、実務での使い方ごと扱う。

「AIを効果的に活用するためには、生成されたコードやSQL、設計の妥当性を判断するための基礎知識や設計力が、これまで以上に重要になっています。」

MIXI 2026 年度 新卒技術研修の公開記事

研修の振り返りで報告された課題

研修の振り返りで報告された4つの課題。①生成AIで並行作業しコンフリクトが多発。②AIが書いたコードのPRで、作成者が実装の意図を説明できない。③設計研修でエージェントの意見に振り回される。④講師がGit/GitHubの資料不足を振り返る
  1. クラウドエース 2025 年度 新卒の研修記事
  2. DeNA 2025 年度 新卒のチームの振り返り
  3. GMOペパボ 2026 年度 新卒研修の記事(設計研修)
  4. NTT Communications 新入社員研修の講師・メンターのふりかえり(2021 年 11 月実施)

いずれも、ツールの操作そのものではなく、何が起きているかを自分で把握し、説明できるかが問われた場面です。

研修設計への示唆

  1. Gitは扱う範囲を明確にする。 コンフリクトの解消までは5社すべてが扱っています。復旧や履歴の整理を研修で扱うか、配属後のOJTに委ねるかを決めておく必要があります
  2. シェルを科目にしないなら、前提として揃える。 科目を置かない会社でも、ほかの科目の教材はコマンドラインの操作を前提に書かれています。入社前か研修の初期に、全員が同じ水準に達している状態を作る必要があります
  3. 生成AIを使わせるなら、出力を評価する基礎とセットにする。 いずれの型の会社も、AIの出力の妥当性を判断できる基礎知識を重視していました

調査の方法

各社について、資料か紹介記事がある最新の年度を対象に、スライド、GitHubの教材、テックブログの記事を確認し、科目ごとに扱っている項目・演習の形式・前提知識・生成AIの扱いを抽出しました。記事で引用した事実は、一次資料で個別に確認しています(2026年9月時点)。公開されているのは研修の一部であることが多く、社内限定の講義は含みません。新卒の個人の振り返り記事は、会社の公式な方針ではないため、出典にその旨を記載しています。

カリキュラムの構成を集計した19社と、その出典は次のとおりです(数字は対象の年度)。

最後に

シェルとGitの基本操作は、多くの研修で受講の前提になりつつあります。WebTerm Learnは、その前提をブラウザだけで、各自のペースで揃えられる教材です。ターミナルGitのコースを、演習で手を動かしながら進められます。チームの研修での利用は、社員研修での利用をご覧ください。

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