なぜ「さくらんぼ狩り」と呼ぶのか

木にたくさんなった実から、おいしいものだけを選んで摘む。それが cherry-pick(さくらんぼ狩り)という名前の由来だ。ブランチには大小さまざまなコミットが並ぶが、その中から欲しい1つだけを選んで、別のブランチへ摘み取る。
これは個人の小技ではない。Linux カーネルは、最新の開発で入ったセキュリティ修正を、まだサポート中の古い安定版へ cherry-pick で移している(バックポート)。Chromium も、修正を古いリリースのブランチへ同じように取り込む。「最新の変更すべては入れられない。でも、この重大な修正だけは古いバージョンにも届けたい」を毎日まわすための、欠かせない仕組みなのだ。
ブランチ全体が欲しいなら merge、特定の1コミットだけなら cherry-pick。たった1行のコマンドだが、世界中の大規模なリリース運用を支える、れっきとした標準技術だ。「あの修正だけ、今すぐここに」と思ったときに、まっさきに手が伸びる道具になる。
