1 本の電線を、いくつもの通信で分け合った

1 本の線を、みんなで分け合う
1 本の線を、みんなで分け合う

tmux と打っても、増えるのは下の緑の帯だけ。何が多重化されたのか、すぐには見えません。

名前の後半の mux は multiplexer の略です。multiplex は、もとは電信の言葉で、1 本の電線を複数の通信で分け合う技術を指します。 1874 年、エジソンは 1 本の線に 4 つの信号を同時に通す装置を作り、翌年 1 月、その権利を 3 万ドルで売りました。同じ 1874 年、フランスの技師 Émile Baudot は、時間を細かく区切って 4 つの通信を 1 本に載せる方式を特許にしています(のちに 5 つまで増やしました)。彼の名は、いまも通信速度の単位 baud に残っています。

いま 1 本しかないのは電線ではなく、目の前の画面とキーボードです。そこに複数のシェルを載せるので terminal multiplexer と呼ばれます。

1 本しかないものを、どう分け合うか。一世紀半前の問いの名前が、そのまま手元の道具に付いています。