Herdr と tmux は、どちらもターミナルを分けて、閉じても動かし続けるための道具です。 違いは、Herdr がコーディングエージェント(Claude Code・Codex など)の状態を見分けて、作業中か・承認を待っているか・終わったかを一覧に出すことです。
この記事では、同じ作業(Claude Code を左右に 2 つ並べる)を Herdr と tmux の両方で再生して、仕組み・キー・再起動したときの扱いを比べ、どちらを選ぶかの目安をまとめます。 Herdr は 0.9.5 の公式ドキュメントとリリースノート、tmux は手元の tmux 3.7c で確かめています。
先に結論
- コーディングエージェントを何体も並べて動かすのが主な用途なら Herdr。どのペインが承認を待っているかを、一覧の色で見分けられます
- サーバーで長く使う・ほかの道具と組み合わせるなら tmux。多くの環境でパッケージから入り、エージェントに限らず何にでも使えます
- 前置キーはどちらも
ctrl+bなので、片方を覚えるともう片方にも入りやすくなります
同じところ
Herdr も tmux も、サーバーと、それにつながるクライアント(いま見ている画面)に分かれています。 ペインの中のプロセスはサーバーが持っているので、画面を閉じても、SSH が切れても、作業は止まりません。
| tmux | Herdr | |
|---|---|---|
| 画面を分ける | ペイン | ペイン |
| 閉じても動かし続ける | デタッチ(ctrl+b d) | デタッチ(ctrl+b q) |
| 戻る | tmux attach | herdr |
| 前置キー | ctrl+b | ctrl+b |
| 動く場所 | いま使っているターミナルの中 | いま使っているターミナルの中 |
同じ作業を両方で動かす
左右のペインで、別々のプロジェクトの Claude Code を 2 つ動かします。まず tmux です。
同じことを Herdr で行います。分割のキーが ctrl+b v になるほかは、手順は同じです。
違いが出るのは、左の一覧です。Herdr はペインごとにエージェントの状態を見分けて、次の 4 つの印で出します。
- working: 作業中
- blocked: 承認や答えを待っている
- done: 終わって、まだ見ていない
- idle: 終わって、もう見た(または入力を待っている)
tmux の画面には、ペインの中身がそのまま見えるだけです。2 つなら見ていれば分かりますが、ウィンドウを分けて 5 つ 6 つ動かすと、どれが止まっているかを探しに行くことになります。
tmux でも、Claude Code にベルを鳴らさせて、ベルが鳴ったウィンドウに ! を付けることはできます(Claude Code を tmux で使うの「承認待ちに気づく」)。
違うところ
| tmux | Herdr | |
|---|---|---|
| 作られた目的 | 端末の作業全般 | コーディングエージェントを動かす |
| 入れ子の名前 | セッション > ウィンドウ > ペイン | ワークスペース > タブ > ペイン |
| エージェントの状態 | 見分けない | working・blocked・done・idle を一覧に出す |
| 再起動したとき | 何も残らない(プラグインの tmux-resurrect などで保存できる) | 配置と作業フォルダを戻し、対応するエージェントは会話を再開できる |
| マウス | 既定では使わない(set -g mouse on で使う) | 最初からクリック・ドラッグで分割や移動ができる |
| ほかのマシン | SSH 先で tmux を起動して使う | SSH で登録したマシンを、手元と同じ一覧にまとめて扱える |
| スクリプトから操作 | tmux send-keys で打ち込み、tmux capture-pane で読む | herdr pane run で打ち込み、herdr pane read で読む。herdr agent wait でエージェントが待つ状態になるまで待てる |
| Windows | 直接は動かない(WSL の中で使う) | ネイティブで動く(一部の機能は Linux・macOS と違う) |
| ライセンス・歴史 | ISC。2007 年から開発が続く | Apache 2.0。1.0 の前で、更新が速い |
入れ子の名前の対応
Herdr のワークスペースは、tmux のセッションに近いものです。プロジェクトごとに 1 つ作ると、左の一覧がプロジェクトの一覧になります。
Herdr のタブは tmux のウィンドウに当たり、agents・logs・server のように見るものを分けるのに使います。
再起動したときの違い
デタッチしただけなら、どちらもプロセスは動き続けます。差が出るのは、サーバーや PC を再起動したときです。
- tmux: サーバーが止まると、セッションもペインも残りません。配置を残したいときは、tmux-resurrect や tmux-continuum などのプラグインを入れます
- Herdr: 元のプロセスは止まりますが、ワークスペース・タブ・ペインの配置と作業フォルダを保存して戻します。Claude Code・Codex・Cursor Agent など対応するエージェントは、会話を続きから再開できます。対応していないものは、保存した作業フォルダで開いたシェルとして戻ります
エージェントから操作する
Herdr は、エージェント自身が Herdr を操作することを前提にしています。たとえば、別のペインのエージェントが承認待ちになるまで待ってから次に進む、という書き方ができます。
herdr pane split w1:p1 --direction right # 右にペインを作る
herdr pane run w1:p2 "npm test" # そのペインで打つ
herdr agent wait w1:p1 --until blocked # 左のエージェントが待つ状態になるまで待つ
tmux でも send-keys と capture-pane で同じように打ち込み・読み取りはできますが、エージェントが待っているかどうかは、画面の文字から自分で判断することになります。
キーの対応表
前置キーの ctrl+b を押してから、次のキーを押します。
| やること | tmux | Herdr |
|---|---|---|
| 右に分割 | ctrl+b % | ctrl+b v |
| 下に分割 | ctrl+b " | ctrl+b - |
| ペインを移る | ctrl+b + 矢印 | ctrl+b h/j/k/l |
| ペインを広げる・戻す | ctrl+b z | ctrl+b z |
| ペインを閉じる | ctrl+b x | ctrl+b x |
| 新しいウィンドウ(タブ) | ctrl+b c | ctrl+b c |
| 新しいワークスペース | (tmux new -s 名前) | ctrl+b shift+n |
| 一覧から選んで移る | ctrl+b s・ctrl+b w | ctrl+b g |
| スクロール・コピー | ctrl+b [ | ctrl+b [ |
| デタッチ | ctrl+b d | ctrl+b q |
| キーの一覧 | ctrl+b ? | ctrl+b ? |
| 全部止める | tmux kill-server | herdr server stop |
どちらを選ぶか
Herdr が向いている場合
- Claude Code や Codex を 3 つ以上並べて、それぞれに別の作業を任せる
- どのエージェントが承認を待っているかを、探さずに知りたい
- PC を再起動しても、配置とエージェントの会話を戻したい
- Windows でネイティブに使いたい
tmux が向いている場合
- サーバーに入って作業することが多く、どこでも同じ道具を使いたい
- エージェント以外(ログの監視・開発サーバー・ビルド)にも同じように使う
- tmux を前提にした道具と組み合わせる(Claude Code の Agent teams でメンバーをペインに分けて出す、など)
- 長く安定して使われてきた道具を選びたい
どちらか 1 つに決める必要はありません。手元では Herdr でエージェントを並べ、SSH 先のサーバーでは tmux を使う、という分け方もできます。
よくある質問
Herdr は tmux の代わりになりますか?
ターミナルを分ける・デタッチしても動かし続ける、という tmux の基本の役目は Herdr でも果たせます。前置キーも同じ ctrl+b です。
一方で、サーバーに入っているかどうか、ほかの道具が tmux を前提にしているかどうかでは tmux が有利です。たとえば Claude Code の Agent teams でメンバーを分割したペインに出す表示は、tmux か iTerm2 の中で使います。
Herdr のキーは tmux と同じですか?
前置キーは同じ ctrl+b で、新しいタブ(tmux ではウィンドウ)の c、ズームの z、コピーモードの [、キーの一覧の ? も同じです。
違うのは分割(Herdr は右が v・下が -、tmux は右が %・下が ")、ペインの移動(Herdr は h/j/k/l)、デタッチ(Herdr は q、tmux は d)などです。
Herdr を閉じてもエージェントは動き続けますか?
動き続けます。ctrl+b q でデタッチしても、ターミナルを閉じても、ペインのプロセスは Herdr のサーバーの中で動き続けます。
もう一度 herdr と打つと戻れます。止めるときは herdr server stop です。
PC を再起動したら、Herdr と tmux はどうなりますか?
どちらもペインのプロセスは止まります。tmux は、tmux-resurrect などのプラグインを入れていなければ、セッションの配置も残りません。 Herdr は、ワークスペース・タブ・ペインの配置と作業フォルダを保存して戻し、Claude Code や Codex など対応するエージェントは会話を続きから再開できます。
Herdr は Windows で使えますか?
使えます。Herdr 0.9.5 の公式ドキュメントでは、Windows のネイティブ対応は一般提供で、一部の機能は Linux・macOS と違うと書かれています。 tmux は Windows では直接動かないので、WSL の中で使います。
ブラウザで両方を練習する
WebTerm Learn では、Herdr 入門編と tmux 入門編を、インストールなしでブラウザの中で練習できます。 どちらも、ペインを分ける・移る・デタッチして戻る、をゲームのように 1 つずつ進めます。Herdr 入門編では、エージェントの承認待ちに気づいて答えるところまで練習します。