Tips & Tricks中級8分で読めます

Herdr と tmux の違い:コーディングエージェントを並べるならどちらを使うか

Herdr と tmux はどちらも、ターミナルを分けて、閉じても残すための道具です。違いは、Herdr がコーディングエージェントの状態(作業中・承認待ち・完了)を見分けて一覧に出すこと。仕組み・キー・再起動後の扱い・選び方を、同じ作業を両方で再生して比べます。

Herdr と tmux は、どちらもターミナルを分けて、閉じても動かし続けるための道具です。 違いは、Herdr がコーディングエージェント(Claude Code・Codex など)の状態を見分けて、作業中か・承認を待っているか・終わったかを一覧に出すことです。

この記事では、同じ作業(Claude Code を左右に 2 つ並べる)を Herdr と tmux の両方で再生して、仕組み・キー・再起動したときの扱いを比べ、どちらを選ぶかの目安をまとめます。 Herdr は 0.9.5 の公式ドキュメントとリリースノート、tmux は手元の tmux 3.7c で確かめています。

先に結論

  • コーディングエージェントを何体も並べて動かすのが主な用途なら Herdr。どのペインが承認を待っているかを、一覧の色で見分けられます
  • サーバーで長く使う・ほかの道具と組み合わせるなら tmux。多くの環境でパッケージから入り、エージェントに限らず何にでも使えます
  • 前置キーはどちらも ctrl+b なので、片方を覚えるともう片方にも入りやすくなります

同じところ

Herdr も tmux も、サーバーと、それにつながるクライアント(いま見ている画面)に分かれています。 ペインの中のプロセスはサーバーが持っているので、画面を閉じても、SSH が切れても、作業は止まりません。

tmuxHerdr
画面を分けるペインペイン
閉じても動かし続けるデタッチ(ctrl+b d)デタッチ(ctrl+b q)
戻るtmux attachherdr
前置キーctrl+bctrl+b
動く場所いま使っているターミナルの中いま使っているターミナルの中

同じ作業を両方で動かす

左右のペインで、別々のプロジェクトの Claude Code を 2 つ動かします。まず tmux です。

tmux: 左右のペインで Claude Code を 2 つ動かす(ブラウザの中で動いている tmux の再現です)

同じことを Herdr で行います。分割のキーが ctrl+b v になるほかは、手順は同じです。

spaces
·shop-api
main
agentsgrouped
1
+
user@webterm:~/projects/shop-api$
Herdr: 左の一覧で、承認を待っている Claude Code の印が赤に変わる(ブラウザの中で動いている Herdr の再現です)

違いが出るのは、左の一覧です。Herdr はペインごとにエージェントの状態を見分けて、次の 4 つの印で出します。

  • working: 作業中
  • blocked: 承認や答えを待っている
  • done: 終わって、まだ見ていない
  • idle: 終わって、もう見た(または入力を待っている)

tmux の画面には、ペインの中身がそのまま見えるだけです。2 つなら見ていれば分かりますが、ウィンドウを分けて 5 つ 6 つ動かすと、どれが止まっているかを探しに行くことになります。 tmux でも、Claude Code にベルを鳴らさせて、ベルが鳴ったウィンドウに ! を付けることはできます(Claude Code を tmux で使うの「承認待ちに気づく」)。

違うところ

tmuxHerdr
作られた目的端末の作業全般コーディングエージェントを動かす
入れ子の名前セッション > ウィンドウ > ペインワークスペース > タブ > ペイン
エージェントの状態見分けないworking・blocked・done・idle を一覧に出す
再起動したとき何も残らない(プラグインの tmux-resurrect などで保存できる)配置と作業フォルダを戻し、対応するエージェントは会話を再開できる
マウス既定では使わない(set -g mouse on で使う)最初からクリック・ドラッグで分割や移動ができる
ほかのマシンSSH 先で tmux を起動して使うSSH で登録したマシンを、手元と同じ一覧にまとめて扱える
スクリプトから操作tmux send-keys で打ち込み、tmux capture-pane で読むherdr pane run で打ち込み、herdr pane read で読む。herdr agent wait でエージェントが待つ状態になるまで待てる
Windows直接は動かない(WSL の中で使う)ネイティブで動く(一部の機能は Linux・macOS と違う)
ライセンス・歴史ISC。2007 年から開発が続くApache 2.0。1.0 の前で、更新が速い

入れ子の名前の対応

Herdr のワークスペースは、tmux のセッションに近いものです。プロジェクトごとに 1 つ作ると、左の一覧がプロジェクトの一覧になります。 Herdr のタブは tmux のウィンドウに当たり、agents・logs・server のように見るものを分けるのに使います。

再起動したときの違い

デタッチしただけなら、どちらもプロセスは動き続けます。差が出るのは、サーバーや PC を再起動したときです。

  • tmux: サーバーが止まると、セッションもペインも残りません。配置を残したいときは、tmux-resurrect や tmux-continuum などのプラグインを入れます
  • Herdr: 元のプロセスは止まりますが、ワークスペース・タブ・ペインの配置と作業フォルダを保存して戻します。Claude Code・Codex・Cursor Agent など対応するエージェントは、会話を続きから再開できます。対応していないものは、保存した作業フォルダで開いたシェルとして戻ります

エージェントから操作する

Herdr は、エージェント自身が Herdr を操作することを前提にしています。たとえば、別のペインのエージェントが承認待ちになるまで待ってから次に進む、という書き方ができます。

herdr pane split w1:p1 --direction right   # 右にペインを作る
herdr pane run w1:p2 "npm test"            # そのペインで打つ
herdr agent wait w1:p1 --until blocked     # 左のエージェントが待つ状態になるまで待つ

tmux でも send-keys と capture-pane で同じように打ち込み・読み取りはできますが、エージェントが待っているかどうかは、画面の文字から自分で判断することになります。

キーの対応表

前置キーの ctrl+b を押してから、次のキーを押します。

やることtmuxHerdr
右に分割ctrl+b %ctrl+b v
下に分割ctrl+b "ctrl+b -
ペインを移るctrl+b + 矢印ctrl+b h/j/k/l
ペインを広げる・戻すctrl+b zctrl+b z
ペインを閉じるctrl+b xctrl+b x
新しいウィンドウ(タブ)ctrl+b cctrl+b c
新しいワークスペース(tmux new -s 名前)ctrl+b shift+n
一覧から選んで移るctrl+b s・ctrl+b wctrl+b g
スクロール・コピーctrl+b [ctrl+b [
デタッチctrl+b dctrl+b q
キーの一覧ctrl+b ?ctrl+b ?
全部止めるtmux kill-serverherdr server stop

どちらを選ぶか

Herdr が向いている場合

  • Claude Code や Codex を 3 つ以上並べて、それぞれに別の作業を任せる
  • どのエージェントが承認を待っているかを、探さずに知りたい
  • PC を再起動しても、配置とエージェントの会話を戻したい
  • Windows でネイティブに使いたい

tmux が向いている場合

  • サーバーに入って作業することが多く、どこでも同じ道具を使いたい
  • エージェント以外(ログの監視・開発サーバー・ビルド)にも同じように使う
  • tmux を前提にした道具と組み合わせる(Claude Code の Agent teams でメンバーをペインに分けて出す、など)
  • 長く安定して使われてきた道具を選びたい

どちらか 1 つに決める必要はありません。手元では Herdr でエージェントを並べ、SSH 先のサーバーでは tmux を使う、という分け方もできます。

よくある質問

Herdr は tmux の代わりになりますか?

ターミナルを分ける・デタッチしても動かし続ける、という tmux の基本の役目は Herdr でも果たせます。前置キーも同じ ctrl+b です。 一方で、サーバーに入っているかどうか、ほかの道具が tmux を前提にしているかどうかでは tmux が有利です。たとえば Claude Code の Agent teams でメンバーを分割したペインに出す表示は、tmux か iTerm2 の中で使います。

Herdr のキーは tmux と同じですか?

前置キーは同じ ctrl+b で、新しいタブ(tmux ではウィンドウ)の c、ズームの z、コピーモードの [、キーの一覧の ? も同じです。 違うのは分割(Herdr は右が v・下が -、tmux は右が %・下が ")、ペインの移動(Herdr は h/j/k/l)、デタッチ(Herdr は q、tmux は d)などです。

Herdr を閉じてもエージェントは動き続けますか?

動き続けます。ctrl+b q でデタッチしても、ターミナルを閉じても、ペインのプロセスは Herdr のサーバーの中で動き続けます。 もう一度 herdr と打つと戻れます。止めるときは herdr server stop です。

PC を再起動したら、Herdr と tmux はどうなりますか?

どちらもペインのプロセスは止まります。tmux は、tmux-resurrect などのプラグインを入れていなければ、セッションの配置も残りません。 Herdr は、ワークスペース・タブ・ペインの配置と作業フォルダを保存して戻し、Claude Code や Codex など対応するエージェントは会話を続きから再開できます。

Herdr は Windows で使えますか?

使えます。Herdr 0.9.5 の公式ドキュメントでは、Windows のネイティブ対応は一般提供で、一部の機能は Linux・macOS と違うと書かれています。 tmux は Windows では直接動かないので、WSL の中で使います。

ブラウザで両方を練習する

WebTerm Learn では、Herdr 入門編と tmux 入門編を、インストールなしでブラウザの中で練習できます。 どちらも、ペインを分ける・移る・デタッチして戻る、をゲームのように 1 つずつ進めます。Herdr 入門編では、エージェントの承認待ちに気づいて答えるところまで練習します。

関連コース

実際に手を動かして学んでみませんか?

関連記事

← 記事一覧に戻る